祭事準備 清掃に従事「神社 後世に残す力に」
備前国総社宮(岡山市中区祇園)で4月から、高校を今春卒業したての18歳の男性が神職を目指して奉仕を始めた。代々神職を務める家の生まれではないが「神社を後世に残すため力になりたい」と決意。県神社庁によると、神社に仕えるのは大学を経てからの人が多く、10代は全国で珍しいという。(小若菜美)
長崎遼真さん=同市東区君津。岡山東商高3年の時、総社宮の地域交流の様子などについて、武部一宏宮司(46)と親交のある父大輔さん(46)から聞き、神社の仕事に興味を抱くように。住民の心のよりどころになるなど神社の存在意義や継承の必要性を、武部宮司が本紙夕刊につづったコラム(2018年 2~3月に計9回)を読み、奉仕への思いを強くした。
総社宮で働きたいという長崎さんに対し、武部宮司は「大学進学や他の仕事を経てからでも遅くはない」と説得。「掃除ばかりで給料は少ない」などマイナス面も伝えたが意志は固かったという。
初日の1日は神前で「就任奉告祭」に臨んだ後、岡山市の他の神社で神事を行う武部宮司に同行した。当面は清掃や祭事の準備などに従事し、1年ほどして神職の資格取得を目指す。
長崎さんは「目標は地域の人に愛される宮司になること。まずは神社について学び、作法を身に付けたい」と話している。
県神社庁によると、県内の神職約600人(17年4月現在)のうち10~20代は24人と5%に満たない。特定の養成機関や神道系の大学で学び、神職になるための資格を得てから神社に仕えるケースが多いとされる。