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山陽新聞『一日一題』2月23日

『姉から学んだこと』

 

 昨年の1月にがんで姉を亡くしました。男勝りな性格で無鉄砲でしたが、一度こうと決めたらやり抜く努力家でした。

 そんな姉は人生の半分をフランスで過ごしました。両親の反対を押し切り、20代半ばに単身、日本を飛び出しました。旅立つ前、努力家の姉は語学を身に付け、文化を学び、生活習慣を学んで準備万端、意気揚々と出発しましたが、1年もしないうちに帰国しました。プライドの高い姉が、二度と日本に戻らない勢いで出て行ったのに意外でした。

 姉になぜ帰国したのか聞いたら「自分がフランスでは通用しないことを思い知らされた」と言っていました。あれだけフランスに憧れて、勉強したのに通用しないことが不思議でしたが、理由を聞いて理解できました。当たり前のことですが、フランス人が日本人と会話する時、フランスのことを聞きませんよね。日本のことを聞きたいと思いますよね。日本がどんな国なのか、どんな思想なのか、何がはやっているのかが気になるはずです。姉はフランスの勉強は一生懸命しましたが、日本のことは勉強していませんでした。ですから中身のない、つまらない日本人と思われたらしく、泣く泣く帰国したのです。

 それから姉は、もう一度フランスに行くために日本の勉強をしました。同時に神社の勉強をして神主の資格を取り、フランスに渡りました。そして自分の居場所を見つけたのです。

 これからもっと世界が近くなり、今よりもさらに外国で活躍する日本人が増えるでしょう。だからこそ自分の生まれた場所をもう一度見直し、世界に誇れることを確認する必要があると思います。われわれが気付いてないだけで、きっとたくさんあるはずです。神社もその一つだと思います。

 外に目を向けるより、近くに大切に守らなければならないものがあることを姉から学びました。 

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