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山陽新聞『一日一題』2月16日

『三つの総社宮』

 

 備前国総社宮の正式名称は「総社宮」と言います。しかし、あえて「備前国」と付けているには理由があります。その意味が分かる小話を紹介します。

 ある人に私の奉仕する神社がどこか聞かれました。「総社宮です」と答えると、「総社市にありますね」と言われるものですから、「いえいえ、それは備中の総社宮です。私の奉仕しているのは備前です」と答えると、今度は「備前市にもあるのですね」とのお返事。「いやいや、祇園です」と答えると、今度は「京都ですか」― 。こんな笑い話がります。

 岡山県には総社市に備中国の総社宮があり、市名の由来になっているくらいですから有名です。それに比べると、備前国の総社宮は知名度が低いため、「総社宮」の前に国名を付けないとほとんどの方に伝わらないのです。

 さて、総社という神社は全国にあり、約千年前の平安時代に創建されたとされています。古代には、六十余りの国があり、各国のすべての神々を合祀して創建されました。すべての神々を合わせ祀った神社、すなわち、総社の由来です。時代の変遷とともに総社は衰退していきますが、千年たった今でも存在しているというのは素晴らしいことです。

 岡山県の古代の三つの国、備前にも備中にも美作にも総社はあります。それぞれ発祥は同じで由緒も確かな神社なのに、知名度では差がついています。知名度を上げることがすべてではありませんが、千年先に残していくためには、多くの人に知ってもらい、お参りしていただく必要があると考えています。

 奉仕している神社を聞かれた時に「総社宮です」と答えて、「ああ、岡山市の祇園にありますね」と、言われるようにしていきたいです。 

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